はねトび

ピンクハレルヤ十字軍ピンクハレルヤのネタで公開録画だったわけだけども、お笑いでこういう定型ネタを面白がるというのはもちろんアリで、たとえばビデオなんかで同じネタを何度も見てその都度笑うというのはお笑い好きの姿勢としては大アリなんだけど、それを芸人側が「はいどうぞ」とやるのは絶対的にナシだと思う。そこらへんはねトびメンバーはどう思ってるのか気になった。

ある種条件反射的に笑いが起こる状況というのは芸人にとっては嬉しい反面苦々しい状況でもあるわけで、つまり何のひねりもなくただ定型ギャグを繰り出せば機械的に観客が笑うというずぶずぶの関係は芸人を最もスポイルする恐い状況で、そういうのをダウンタウンの松本さんあたりは忌み嫌っていて「レベルの低い客が芸人のレベルを下げる」という趣旨のことを言っていたと思う。あるいは超大昔のグループサウンズの人で、名前は忘れてしまったけれども、ステージに立った瞬間客が狂ったようにキャーキャー騒いでまともに曲なんか聴いてるやつは一人もいなくて、ついにキレてしまって「おまえら黙れー! 座って曲を聴けー!」となってしまったとか、そういうのと同じ状況にある。

今では伝説みたいに語られる漫才ブームも、そういう定型ギャグを作り続けた芸人と定型ギャグを猿みたいに喜ぶ客の馴れ合いによって潰れた。ろくにネタ作りなどしなくても、TVに出て「もみじまんじゅう!」と無意味な単語を発していれば笑いが取れるというのは異常な状態で、芸人さんもそれをわかっていたはずで、でもそのぬるさに甘えていたということ。というかもう「ギャグ」というものはこの世から無くなっていいと思う。1本ネタの中にあって初めて成立するギャグ以外は。でも一番悪いのはネタから遊離して無意味になってしまっている単独のギャグで大喜びする客なのだけども。