ラッセンさん

最近ずっとクリスチャン・リース・ラッセンさんのことを考えているのですけども、結論から申し上げるとラッセンさんには罪はない。推定無罪

だってじゃあ、たとえば秋葉原に押し売り画廊がなくて、ヤンキー部屋に写真立てもなくて、仮に全く無名なラッセンさんという画家の絵を初めて見たとして、一体何人の人が「なんかだせえ」と思うかという話であり、俺の予想では大体10人中7人は「綺麗ですね」って素直な感想を吐くと思う。3人くらいは「ちょっとケレンに走りすぎというか商業主義というか売れたい願望強すぎというかド派手すぎというかだせえ」みたいな印象を受けるかもしれませんけど。

そしてただいま現在ラッセンさんの絵は日本人の共通認識として「だせえもの」として捉えられている。ここに7人の自己欺瞞があるわけですよ。自らの審美眼ではなく、3人のセンスのいい人たちの意見を丸呑みして、それを恰も自分の意見のごとく言い放つという。別にこの割合が4:6でも1:9でも問題の本質は変わりない。

これは階層社会の罪であり、ラッセンさんの罪じゃないので、ラッセンさんの絵が欲しいなと思ったら素直に買いなさい。俺は買いませんけど。