オンデマンドCM陰謀論

HDDレコーダーの普及によって、TVCMが視聴されなくなってしまうのではないかという強迫観念的な恐怖が広告業界に存在していて、次世代広告戦略のひとつとしてオンデマンドCMが進行しているという前提で。

ごく最近のCMで3本、非常に気になるものがあった。ひとつはサッカー日本代表が出たCMで、恐らくアレは日朝無観客試合直後の興奮冷めやらぬうちにゲリラ的に代表選手を撮影したもので、「CMって(会議とかも含めて)長い時間と膨大なお金をかけて作り上げるもの」という視聴者の思い込みの隙を突いて、スッと心に入り込んでくるものがあった。とにかく「ついさっき撮った感」がすごかった。生CMに近いのだけど、フォーマットとしては従来通りの「お金がかかってるCM」の枠組みから外れてない。

あとの2本は直立レッサーパンダを起用した缶コーヒーのCMと、それをパロってパンダアザラシ(?)が直立する『ラーメンおつまみ』のCM。こいつらも時事の話題を即座に取り入れて、オンデマンド感を感じさせた。

ですけども、陰謀論的には「CMの製作サイクルがネット時代に合わせて加速している」とはみなさない(方が面白い)。これも巧妙な仕込みです。缶コーヒーのCMも、ラーメンおつまみのCMも、実はレッサーパンダが直立する半年も前から企画として提出されていて、直立報道が始まる直前にはもうCMが完成していた。そんで、体勢が整ったところで、一気にレッサーパンダを直立させて、にわかブームを起こし、CMの価値を高めたと。これが正しい陰謀論者の見方であります。これからどんどんオンデマンドっぽいCMが出てくると思うので、陰謀論者は休む暇がありませんよ実際。