Wiiは一人やりこみゲーに向いているか否か

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Wiiって、そーゆー 一人でやりこんでいく系のゲームに適したインターフェースなのかなぁと。

ちょっとまずは関係ない話から始まるんですけども、以前「○○とかにはやりこみ要素がない」って言ってる人がいて椅子落ちした。えー!? やりこみ要素って、いつのまにかゲーム開発者が用意しておくべきものになっちゃったんだ? 自分でやりこむところを見つけたり決めたりして勝手にやりこむものだったのに! 予め用意されてたらやりこみ要素っていうより、やらされ要素って感じだと思った。以上ここまで関係ない話。

で、Wiiはいわゆる一人でこつこつやるタイプのゲームには向いていなくて、大人数でわいわいやるのに適したゲーム機なのかって話なのですけども、それはもうソフトによるとしか言いようがない。

akoginaさんが危惧する「腕ダルくならね?」「任意操作性が心細くね?」について細かく言っていくと、Wiiリモコン(単体)にはまず3つの要素がぶちこまれているところから話さないとならない。

  1. ダイレクトポイント(画面の任意の位置を指し示す行動)
  2. モーション(リモコンとセンサーバーの相対位置を変化させる行動)
  3. ボタン(ボタンを押してタイミングを取る行動)

今までのゲーム機においては、右手は主に「ボタンを押す」以外の行動はほとんどおこなっていなくて、まれにアナログスティックを動かす程度でした。ほんで、Wiiはそれ以外に2つの行動を取れるようになった。DSが発売されたとき、やたらとタッチペンで画面をこすらせたりタッチさせるミニゲーが乱発されたように、Wiiでもボタン操作以外の「ダイレクトポイント」と「モーション」をやたら要求するゲームが、主にサードから乱発されることは想像に難くない。そうすると当然プレイスタイルによっては疲れるでしょう。でもそれはソフトの問題であって、ハードの問題ではない。従来通り、右手のWiiリモコンにはボタン操作だけを要求させるゲームを作ればいいだけの話なのです。DSで、十字キーとボタンしか使わない『Newスーパーマリオ』が出たように。まずここがひとつ。

同様に任意操作性についても、Wiiリモコンを常にダイレクトポインティングのための道具に限定してしまうと、それは当然「ちゃんと思ったところにピタッとイ」かせることが難しくなります。しかし、ダイレクトポインティングを常用する「一人やりこみゲー」って、実はFPSくらいしか現在のところジャンルとして成立してないんですよね。Wiiで新たなジャンルのゲームが生まれるとしても、恐らくプレイヤーに常にダイレクトポインティングを要求するようなゲームは、akoginaさんが危惧するように「疲れる」「ピタッと止めづらい」という理由で、隆盛することはないでしょう。要所要所でダイレクトポインティングを使い、普段は簡単で疲れないモーションとボタン操作を中心にしたゲームが主流になると思います。

そんでさらに言うと、従来からのゲーマー向けに出るゲームは、Wiiリモコンだけではなくヌンチャクも併用するものが多くなることが予想されるわけで、そうなるとますますakoginaさんの危惧は的外れになっていく。左手がアナログスティック、右手がボタン操作というのは従来のゲーム機と全く同じです。オプションとして、左手にモーションとボタン操作が、右手にモーションとダイレクトポイントが加わるに過ぎない。オプションをどう使っていくか(もしくは使わないか)は全くもってソフトの問題であり、Wiiが従来ゲームに向いているかいないかという話とは無関係になってくる。

たとえばPS以降のファイナルファンタジーシリーズを、従来からのやりこみゲームと既定して、仮にWiiに移植するとしましょうか。そうすると、左手で主人公を動かし、右手でボタンを押すという部分では全く違いがない。作り方によっては、左手一本で寝っ転がってプレイすることも可能になるでしょう。あるいはメニュー画面でのみ右手のダイレクトポイントを使って、面倒なメニュー操作を簡略化することもできるでしょう。常に体の前に両手を持ってこないといけない従来機より、逆に疲れないんじゃないですか?

ただ、やっぱりさきほど言ったように、Wiiの新機能を使わせたがるゲームはうんざりするほど出てくるでしょう。中には疲れさせることを目的にしてるとしか思えないような糞ゲーも出るでしょう。でもそれはソフトの問題なのです。少なくともWiiインターフェイスが単独プレイに向いていないとは全く言えないと思う。

あと蛇足ですけど、PCゲームのFPSにおいて、akoginaさんの言う「任意操作性」(マウスだと照準がピタッと止められる)はリアリティを削ぐ方向にしか働いていない。どこの世界に全速力で走りながら正確なエイミングが出来る超人がいるのかって話です。正確なエイミングをするにはワキを締めて、自分自身がピタッと止まっていないといけない。PCのFPSでは遠距離を狙うライフルの難しさを表現するために、わざわざフラフラ感を作り出しているくらいです。