柳龍拳さんで佐山聡さんの古い番組を思い出した

今日、実は日本格闘技界をゆるがすような一戦が行われていたことを、ほとんどの人は知らない。

これはひどい。思い出した。

だいぶ昔、多分20年くらい前、元初代タイガーマスク佐山聡さんがシューティング(現・修斗)の練習生を竹刀でめった打ちにしていて(YouTube(暴力描写がひどいのでCONFIRMというボタンを押さないと見られません))、「これって格闘技の技術を学ぶところじゃなくて、よく言って虐待に耐える精神力を身につける場所なのでは……ゴクリ」とか俺は思ったのですけど、それと同じ番組だったかどうだったか、佐山さんが各国の伝統武術とガチで闘うっていう企画をやってた。

そんで、確か中国武術かなんかで、もんのすごい尊敬を受けてる大先生(多分50代後半か60代前半)とバーリトゥード(素手(!)のノールール)でやったんですけど、もうほんと瞬殺な。佐山さんの巨木のような太ももから最初の一発目の蹴りが繰り出された瞬間、本来だったら鮮やかに流すか華麗に手でさばくかカウンターを当てるかするはずの中国武術の大先生が、普通に首をすくめてて、左手で「いやいや」をするような格好になってて、腰が引けてて、ヤクザにどつかれてるそこらへんのかわいそうなおじさんみたいな感じで、思いっきり顔面を蹴りつけられてるのを見て、ものすごいショックを受けた覚えがある。いや、その中国武術の先生がまやかしだったことにではなくて、暗黙の了解を全く意に介さず、下手したら死んでしまうようなレベルの力で先生の顔面を蹴りつける佐山さんの狂気に。佐山さんほどの人であれば、相手の力量をはかるために最初の1発2発軽く様子を見たり、相手に打たせてみたりして、弱いと感じれば怪我をしない程度に抑えるとかそういうことができるはずなのだけど、もうはなっからそんなことをする気はなくて、相手がどんな強さだろうがお構いなしに全力の一撃、というか最初の一撃で相手を殺してしまうような、正に一撃必殺の闘い方をしてた。

結局その企画で組まれた試合は全て佐山さんの圧倒的な、文字通り圧倒的な勝利で終わったのだけど、あれほど怖い見せ物はなかった。素人同士の本気の殴り合いですら、はたから見てたらものすごく凄惨なわけで、いわんや佐山さんをや、って話なわけですよ。

現実怖い。

追記:ちょっと言葉が足らなかったようなので追記。このTVの企画は「どっちが強いのか」ってことを主眼にやってて、だったら普通に「試合」でいいわけであり、反撃不可能というか死ぬ寸前にまで陥るような攻撃を加える必要はないってのがある。これがもしも「死合」で、本当の殺し合いだったら最初の一撃で殺してしまうのが一番理に適ってるのは当たり前ですけども、「やらないと殺られる」というような異常な状況じゃないわけですよ、ぬるいTVの特番なんだから。そこらへんの暗黙の了解を佐山さんは完全に無視していた。「これで相手が死んでも別に構わない」という攻撃だった。

あと、ほとんど誰もこの番組を観ていなかったようで残念なのだけど、もしも観ていたら一目瞭然でわかったに違いない。佐山さんと相対したときの、姿勢、手の構え、足さばき、筋肉の量、視線、その他もろもろの情報から、この中国武術の先生は「ノールールの喧嘩では全く強くない」ということが素人目にも丸わかりだった。恐らく道場の無名の若い人にすら、喧嘩だったら普通に負けるだろうことは容易に想像がついた。だってもう60代になんなんとするシニアなんだから。そういう労りの対象たるべきおじちゃんの顔面に、佐山さんは全力のハイキックをお見舞いしたんです。UFC初期にたまにあったでしょ。自称空手家の痩せっぽっちの白人が、糞の役にも立たない横蹴りや手刀をひらひらと繰り出してて、「こいつ絶対空手やったことないだろ 笑。何を勘違いしてオクタゴンに紛れ込んでんだよ」と笑って見てたら、あっという間に顔面殴りつけられて血まみれになって、全く笑えなくなった、ということが。あれをもっとひどくしたような内容だったのです。