どうしても説明できない話

いつだったのか、どこだったのか、全然定かじゃなくて申し訳ないんですけども、何かのドキュメンタリー番組を見まして、それに対していたく感動したので、いろんな人にその内容を説明しようとしたのですけど、説明しているうちに途中でどうしても泣いてしまって話の続きが出来なくなっちゃうというのがありまして。

話してるうちに感極まって涙がこぼれてくるので、その先はもう話せなくなるのです。これは困る。いい年ぶっこいた中年ジジイがいきなり説明中に泣き始めるとか、普通にホラーです。でもこうやって、ネット上で書く分には、書いてる最中泣いてても誰にも見られないので、皆さんに説明してみる。

盲導犬っているじゃないですか(じゃないですか話法)。彼らって、うちらが思っている以上に超重労働なんですってね。まずもって寿命が短い。仕事がハードすぎるので長生きできないんだそうですよ。ほいで、犬が高齢になると、とてもじゃないけどハードすぎて仕事がつとまらなくなるので、ある程度の年齢に達したら普通は引退するんだそうです。引退した盲導犬はボランティアとか地域の有志の方に引き取られて、余生を静かに過ごす。仕事から解放されて、自分自身の人生(犬生)を生きるんだそうです。

でもね、引退した盲導犬って、多分幸せじゃないと思うんですね。いくらハードな労働から開放されるんだとしても、大好きな飼い主から引き離されることは犬にとってつらいことだと俺は思う。

ほいでね、そのドキュメンタリー番組には一人の盲人(仮に吉田さんとしましょうか)と盲導犬(仮にジョンとしましょうか)が出てくるんですけど、ジョンがいよいよ高齢にさしかかって、もうこれ以上仕事を続けさせるのは難しいという判断が下されたとき、吉田さんは通常の手続きを無視して、「ジョンに恩返しをしたい」と申し出たんです。通常なら、ジョンを引退させ、誰かに引き取ってもらい、別の盲導犬と新たな生活を始めなきゃいけない。だって吉田さんは目が見えないんですから。代わりの犬がいなきゃ今までどおりの生活はできない。でも吉田さんは自分の生活よりもジョンの幸せを優先させたんです(もうこの辺からダメ。もう無理)。はじめのうちは幸せな毎日に見えました。でもやがてジョンは高齢から歩くことさえ困難になり、もう自分でトイレに行くことすらできなくなります。ただ毛布の上に横たわり、見えているのか見えていないのかよくわからない目を見開いて、虚空を見つめているだけです。そんなジョンを吉田さんはやさしくやさしく撫でてやるんですね。ありがとう、つって。ジョンは最後まで幸せだったろうし、不便な生活を強いられるようになった吉田さんも、便利だったときよりずっと幸せそうに見えて……(ごめんなさい。やっぱこれ以上無理(p_q)