謝罪について

相手が怒る→謝罪する→さらに相手の怒りが増幅するっていうパターン結構あると思うんですよね。よくテレビとかで危機管理がなっちゃいないだの、謝罪会見がなっちゃいないだのとやっていますけども、あれは大体において謝罪の仕方がぞんざいだとか、言い訳じみてるだとか、ごくごく基本的な話だったりするわけで、自分らの生活とはあんまり関わりがない。言い訳をせず、しおらしく、誠実に、心からの謝罪をして、それで済むならこんな簡単な話はないわけです。

で、ある種の性質、嗜虐性と言いますか、そういうのを持ってるタイプの人に謝罪する場合は、ひたすら低姿勢で謝るだけではダメなんですよね。このタイプの人は、最初怒りのレベルが低かったとしても、自分が怒りを表現しているというシチュエーションに自家中毒起こしてどんどん怒りのレベルを上げていく。怒りで怒りを増幅させていく人たちです。生活の中で謝罪する時って、こういうタイプを相手にすることの方が多いと思うんですよ。そういう人たちこそ声高に謝罪を求める傾向にあるというか。

このタイプに謝罪するとき、態度として有効なのはこんな感じではないですかね。

  • 必要以上にしおらしくしない。むしろ気を張る。眼力を込める。
  • 必要以上に暗くならない。謝罪から間髪入れずに気持ちを切り替えて明るくする。

しおらしく、おどおどとした態度を見せると、「こいつには逆襲されることはないから、もっと強い態度で怒っても大丈夫だ」と相手の無意識が判断します。怒りで怒りを増幅させるタイプが相手だと、こう判断された場合、たとえ当初の怒りレベルが低いものだったとしても、限界突破して当初の怒りの原因とか吹き飛んで、何をどう謝罪しても収まりがつかなくなるっていう。こちらとしては「今回の件は自分が悪かったので心から謝罪しますし今後同じことが起きないようしますが、それ以上でも以下でもない。もしもこれで収まらず、私の人間としての尊厳を踏みにじるような理不尽な真似をしてくるようなら躊躇無く殺ります。眼を刳り抜きます」と、もちろん言葉にはしませんけど、そういう心持ちと気合いを体から漂わせておかないと、相手の怒りの無限ループに付き合わされることになります。

昔ですね、桜庭和志さんが言ってたと思うんですけど、総合格闘技の試合において、余計な顔面への攻撃は相手から同じ攻撃を引き出すきっかけになるみたいな話があったんですよね。そう思って試合を観てると、桜庭さんはスタンドでもみ合ってる膠着状態からは無駄な(ダメージがほとんど与えられない)顔面パンチは打たない。グランドでも戦略的なパウンド以外はせず、早めに関節を狙いに行く。すると、立場を変えて同じ状態になっても、不思議と相手は顔面攻撃をあんまりしてこなくなるんですね。なので顔が腫れるような、痛くて、できれば避けたい攻撃を受けなくて済む。で、他の選手の試合もそういう視点で観てると、顔面を打たれた選手は顔面を、ローキックをされた選手はローで反射的に反撃するという場面が非常に多い。

謝罪の場面における逆ギレ的な態度は、できれば避けたい顔面攻撃(理不尽な無限怒りループ)の誘い水になりますけども、嗜虐性のある相手への謝罪においては、しおらしくおどおどした態度も同様の誘い水になってしまうということです。

んで、態度はそんな感じで、「何がいけなかったのか」「心からの謝罪」「今後の対策」の3つを、相手の機先を制する感じでバチンとぶつければ、嗜虐タイプの人も「お、おう……」ってなる。油断するとすぐに怒りがぶり返すので、謝罪がきっちり終わったら、真摯でありつつもなるべく明るい態度によって、相手の気持ちをも切り替えさせるっていうのがいいのかなと。体育会系の人たちは、こういうの自然と身につけてますよねえ。