言葉レース

言葉レースはなんとなく使いづらくなった言い回しを別な言い方に変えてみて鮮度を保とうとする仕組みで、主に10代から30代の人が時代の空気(ぷ)を感じ取ることによって生まれてくることになっている。最近トップの座を陥落したのが「普通に」で、現在トップに来ているのが「軽く」。トップから落ちると2位になるんじゃなくて遥か後方に下がるので注意が必要。具体的に言うと「つーか普通に可愛くない?」という言い方は今NGで、「軽くびっくりするね」はそこそこという感じになってる。女子高生は不思議とこのレースの行方に無頓着で、未だに「〜だけど」とか「やばい」「〜から」を使い倒す。用例は「マジうざいんだけど」「やーばい。このラーメン」「それ違うから」。だから多分高校生はこのレースから逃れる事が出来ている特権階級なのだと思う。普通の人は2位から3位の言葉を使うか、あるいは全く別の言語体系に身をゆだねるかしないと勝手にオシャレ判定人の餌食になって、あの人は言葉のセンスがないと思われてしまうのでオシャレ判定人を皆殺しにするのがいいと思う。

あと「アレ」という言葉についてなんだけど、俺が使う「アレ」は言葉レース出走馬としての「アレ」である場合は少なくて、単にアルツ入ってるおじいちゃんにありがちな指示代名詞連発の「アレ」なので、オシャレ判定人に「いまどきアレとか使ってるようじゃね」と鼻で哂われてもそれは違う。おじいちゃんをいたわるべき。

出走馬→「ちょっとアレげな雑誌に載っちゃってさ」
アルツ→「先週のアレ、アレしといてくれた?」