ジョイ

TVCMという名の欲望刺激装置、ひいてはその後ろにひかえるDIME(この場合広告代理店と言い換えて差し支えない)との終わりなき闘いこそが僕ら(僕らの時代なので僕らって言いますよわるいけど)の宿命なわけですけども、ここ10年で最も強力なCMが現れたことに敵ながらあっぱれと言いたいと思った。

台所用洗剤『ジョイ』が繰り出した重火器(油まみれの水鳥)は「環境問題は金になる」ということをまたしても証明したわけなのですけども、そのあまりにあこぎな説得力の前に僕らはなすすべがない。だってじゃあ油まみれの水鳥は超可哀相で、それが救われたらなんかとてつもなくいいことをした気になる。ジョイを買ったら水鳥が助かるような気になる。たとえP&Gが大した環境保護活動をおこなっていなかったとしても。たとえこの中性洗剤を含む生活排水が河川に悪影響を与えていたとしても。一羽の水鳥が元気に飛び立つ映像の前では全てがチャラになる。

あと「うちの車を買ってくれたら木を1本植樹します」っていう活動をおこなったら、それまで全然成績がふるわなかった販社でものすごく車が売れたという伝説的な逸話があって、おまいらは贖罪意識という弱点を突かれすぎ。