ネットコンテンツ書籍化陰謀論

疲れてる感じだったもはやネットコンテンツの書籍化はコンテンツの良し悪しの問題ではなく、マーケティングと事前のプロモーションの問題になった。というか、これはもうネットコンテンツですらない。あるコンテンツを、一時期ネットに置くこと自体がプロモーションの一部に組み込まれている。素人の出る幕はなくなりつつある。

  • ある程度の採算が見込めるコンテンツを、「ネットから発掘」するのではなく、需要予測によって作り上げる。なんなら「事実に基づいた話」として捏造する。
  • 需要は最低で2000人の購入が見込めれば十分すぎるほどに十分。ヲタクやサブカルなど、ネットとの親和性が高い要素を盛り込めば、この条件は楽々クリアできる。
  • 出版と広告の出番はこの時点ではまだない。ただ、実際のライターをコーディネイトするのはもちろん彼らの仕事である。
  • 実際のライターは、付加価値の高い人物像を選ぶ。なんなら捏造する。東大生、30代キャリア女性、熱血弁護士、現役女子中学生、巨額の遺産をバックに悠々引き篭もるヲタク男子、少年法によって守られた殺人者。
  • 初めは静かに、淡々と、コンテンツの一部をネットにあげていく。この時点では訪問者の数は一切気にする必要はない。むしろ訪問者の少ない時期が長いほど、広告の匂いが消され、「ネットの海でたまたま発見された宝石」としての価値が高まる。
  • ある程度のコンテンツが出来上がった時点で、2chmixiソーシャルブックマーク、その他、人が多く集まるところで出版と広告代理店が自作自演を始める。多くは語らなくていい。URLを提示するだけで目的は十分達成される。初めから2chmixiでコンテンツをあげることによってこの手間を省くこともできる。
  • コンテンツの中身よりも、ライターの出自や、彗星のごとく現れたこと自体の話題性により、放っておいてもαネットワーカーがフックされる。
  • 出自の怪しさは逆にプラス条件となり、αネットワーカーが取り上げやすい状況を作る。ここで初めてコンテンツを知る人の数は爆発的に増加する。
  • 予定されていた通りのスケジュールで書籍化が行われ、一般メディアが「ネット発」に食いつく。ここで「ネットに興味はあるが、実際にはそれほど利用していない層」にある程度の需要が喚起される。
  • 結果的に、当初の需要予測を上回ることはあっても下回ることはない、確実な商売が成り立つ。

この一切を個人的にプロデュースできる人物もそろそろ出ているはずだと思った。

参考記事:id:kanose:20050610#otakucareer

追記

書店は今、次々に発刊されるブログ本に飽き飽きしており「ネット関連の本」と聞いただけでいやな顔をする店もあるという

はええ。せっかく陰謀論をごにょごにょしたそばから、いきなり「ぷぷーっ! ブログ発の書籍化は終わりましたー。もう遅いですぅー(小二口調)」って出版界に言われた。なんというか世間の速さにまったくついていけません。ソーシャルブックマークによって情報消費が加速化されて、大体一時情報が供給されて0.2秒後には「それは終わった」と認定される状況にあり、もうこうなったら、一時情報が出る前に一時情報を予測し、出てもいないのに「それは終わった」と予言するしかない。その予言すらも0.01秒で消費されてしまうので、なんていうか、ハエ化するポストモダンです。ハエは3秒間しか記憶を維持できない(眉唾情報)。