バトン的なもの

id:kasai:20050615さんと、いしたにさんから何か名状しがたきモノ(The Unnamable Baton)が回ってきてるので答えます。

シクリッドというとやれマラウィーだ、やれタンガニイカだと、初心者はアフリカンに目がいきがちで、実際アフリカンの大御所と呼ばれている人たちも出自をただせば「パッと目を引く派手さがあったから」とかそういうのがきっかけな人がほとんどですよ。それに比べてサウスアメリカンのドワーフシクリッドは正直華がない。大体見栄えがするのはほんのわずかな期間だけで、普段はただの茶色いチビですからね。ハマればハマるほど地味な方に傾いていくっていう、コアな路線ですよ。実際ハードコアな人がSp.とかありがたがって買ってきても、もう本当に地味なだけ。Sp.(スピーシー)って要するに「よくわかんね」ってことですから。よくわかんねえ地味を愛でるっていう侘び寂びの世界。でもやっぱり最大の利点は60cmと上部さえあればとりあえず今日からでも始められるっていう手軽さにあって、いや、もちろん本気出したら上部とかダメだし、とりあえず1週間くらいは空っぽで回しとくべきですけども、まあとっかかりとしては悪くない。そんでゆくゆくはエーハイム+底面で気合入れて、90cmとか120cmとかに行けばいいじゃないですか。ぶっちゃけた話、アピストワンペアのために120cmとか、正気の沙汰ではないですけども。ブリーディングするなら120cmでは管理しきれませんしね。普通にアピストにハマると、普段使いに60cmを数個用意して、ブリーディングのために45cmを10個とかそういうスタイルに変わりますよ。もちろん45はスポンジね。で、それとは別に90cmと上部を1つ用意して、ピートぶっこんで空っぽで回しとくと。そっちにいつでも安定したpH5を用意しとくっていう寸法ですよ。そこまでやらないと最終的には。

で、5つ選ぶんでしたっけ? とにかく全部に共通して言えるのはワイルドにしろってことで、ワイルドにあらずばドワーフシクリッドにあらず。アーティフィカルブリードのカカトゥオイデスとかアガシジィで下品な発色してるのを選択するのは、マラウィーのアーリーブルー(つーか大体非ムブナばっかりやってるのは日本だけですよ。この島国根性が!)に目を奪われるのと同じメンタリティですから、そういう人にはサウスアメリカンドワーフは向いてない。やめときなさい。男は黙ってワイルドアピスト。

  1. ビタエニアータ
  2. ディプロタエニア
  3. メンデジィ
  4. トリファスキアータ
  5. タエニアカラ・カンディディ

次はid:sampleさんとid:boyoyoさんに回します。

何書いてんだかわかんねえよバカと言われたので嘘です言われてませんが解説を書きました。
マニアにしかわからないように書くことで、一体何のことを書いているのかって感じにしてたわけですけども。つまり音楽のこととかビタイチ書いてない。聴かねえもん、音楽。

シクリッド
スズキ目カワスズメ科に分類される熱帯魚の名称。アフリカ、スリランカ、中米、南米、インド、他のアジアの一部の地域に分布する。
マラウィー
アフリカ、マラウィ湖のこと。
タンガニイカ
アフリカ、タンガニイカ湖のこと。マラウィーとあわせてアフリカ湖産のシクリッドは体格がよく、非常に見栄えがする。気性が荒い種が多く、また、熱帯魚界にあっては水質が特殊なので、混泳には向かないものが多い。
ドワーフシクリッド
南米産のシクリッド。体長5cm以下のものがほとんど。アフリカ産と違い色が淡く、また、繁殖期の限られた時期しか美しい発色を見せないので、非常に通好み。基本的につがいで飼う。水草水槽に小型のカラシン(ネオンテトラなど)と混泳させるのが主流。
Sp.
speciesの略。熱帯魚店でよく見られる表記。アピストグラマは新種の発見が盛んで、まだ命名されていない種に暫定的に、捕獲された川の名前とともに付けられる。また、成長しきっていないために種が判別できない場合にもつけられる。Sp.の詰め合わせ売りなどもある。
60cm
60cm水槽のこと。熱帯魚飼育の初心者が初めて買う最も基本的な水槽。大型種の飼育には当然向かない。小型のアピストグラマの場合、3ペアくらいが混泳可能。
上部
上部フィルターのこと。安価で手入れが楽だが、濾過能力は外部フィルターに及ばない。また、上部から水を落とすため、どぼどぼと空気を巻き込む。神経質な魚を飼う場合にも向かない。
空っぽで回す
買ってきた水槽に水を入れ、魚は一切入れずにフィルターだけを稼動させること。一週間ほどでフィルター内にバクテリアが発生し、生物濾過が始まる。バクテリアの発生を促すために水草を大量に入れておくのが望ましい。また、アクアリストの先輩からフィルターの濾材を分けてもらうのも有効。
エーハイム
最も人気が高い外部フィルターメーカー。若干高価ではあるが、性能には定評がある。
底面
底面吹き上げ式フィルターのこと。外部フィルターとの同時使用によって、濾過能力をアップさせる。底面に敷き詰めた石が濾材の役割をする。メンテナンスに若干の煩雑さがある。
アピスト
アピストグラマの略。南米産ドワーフシクリッドの中でも最も人気の高いグループ。約30種類いるが、コリドラス(南米産小型ナマズ)と同様、毎年のように新種が発見される。新種ではなく地域変異個体に過ぎないかもしれない。
ブリーディング
繁殖のこと。熱帯魚飼育において最もエキサイティングなもの。繁殖をさせない熱帯魚飼育は、「長い時間をかけて野生動物を殺しているに過ぎない」と言い切るアクアリストもいる。
ピート
ピートモスのこと。水苔が堆積して地中で炭化したもの。保水材として園芸店などでも販売されている。上部フィルターにピートを突っ込んでおくとpHが弱酸性(pH4〜6)で安定し、南米産シクリッドに最適な水質となる。
スポンジ
スポンジフィルターのこと。ブリーディングの際、強い水流を避けるために使われる。また、小型水槽の場合はスポンジフィルターのみでも十分な濾過が可能。
ワイルド
野生のこと。人工繁殖に比べて色味に乏しく、痩せて弱っている個体が多いが、その状態から健康で発色のよい状態に持っていくのがドワーフシクリッドの醍醐味。
カカトゥオイデス
アピストグラマの一種。尾びれに真っ赤な斑紋が入る、ダブルレッドと呼ばれる人工繁殖個体が人気。気性が少し荒いが丈夫で飼いやすい。
アガシジィ
アピストグラマの一種。尾びれが剣型をしているのが特徴。人工繁殖個体には見事なブルーの発色をもつものがある。特に発色が美しい個体はペアで数万円する場合もある。
アーリーブルー
マラウィ湖産のシクリッド「アーリー」の青色の体色のこと。金属的な光沢があり、淡い色彩の淡水魚の中にあってもひときわ目立つ。熱帯魚というと海水魚を思い浮かべてしまう非アクアリストにとっても、アーリーのブルーは目を引かれるものがある。
非ムブナ
マラウィ湖産シクリッドはムブナ類と非ムブナ類の2つの大きなグループに分けられる。ムブナとは現地の言葉で、岩場に棲むシクリッドのことを指す。非常にテリトリー意識が強いものが多く、混泳はほぼ不可能。非ムブナは岩場も含めてありとあらゆる場所に生息しており、以前はハプロクロミスと呼ばれていた。日本においては非ムブナ類の飼育が主流だが、欧米ではムブナのほうが人気が高い。