『アウトレイジ』を……、観たの……

心の底から面白かった映画の感想だけを書きたいと常々思ってたんですけどやっぱこれからは観た映画は片っ端から感想書こうと思い直しました。よろしくお願いします。文句とかつけたらごめんなさい。

で、北野作品は俺の中で『菊次郎の夏』で終了、みたいなところもあるんですけど、『アウトレイジ』は久々に面白かったです。少なくとも『BROTHER』の数倍は面白かった。でも初期作品のようなイメージを期待してるとだいぶ違うなーと。初期北野作品には、こういうのが共通してた。

  • 唐突に始まる理不尽な暴力
  • 「えっと今、どういう意図でこんな静かな長回しのシーンが続いてるの?」ってあまりの長さで観客が不安になった頃合いで「そういうことかー!」っていう細かい謎解きを繰り返していく

この2つは密接につながってて、相乗効果ですごい緊張感を生むんですよね。スクリーンのたけしさんが無言で相手を見つめたりするともう「来るか… 来るか…」っていうドキドキがハンパない。来ないときもあるし、来るときもあるから先が読めない。セリフなしの人物のアップは、そのカットが終わって初めて意味がわかるようにできてるので、目が離せない。こういうスタイルの北野映画がたまらなく好きなんです俺は。

アウトレイジはそういう演出をほとんどしてない。初期比数倍多めのセリフと、実に素直なシーンのつながりのせいで、ストーリー展開がわかりやすい。「ああ、こんなことされたら怒るわな普通。あ、やっぱり怒った。殴った」みたいに、起こるべくして起こる暴力なので、変に不安や緊張を強いてこない。全編目を覆う暴力シーンの連続ですけど、そこに狂気は感じない作りになってる。これはヤクザ映画として至極まっとうです。そういう映画を目指して作ってあるんだからそこに文句付けても始まらない。アウトレイジはヒーロー不在の普通のヤクザ映画として実に面白かったです。