ミルコさん攻略

寝技系選手の対ミルコさんの戦術において最大の重要事はタックルにあるわけなのだけども、ミルコさんのタックルの切り方は反応速度も含めてほぼ完璧で、即ち両足を開くようにして後ろに投げ出し、上体を反らして上からタックルを潰すという方法で、これは要するにミルコさんが下になった状態でのテイクダウンは完全に防ぐのだけど、ノゲイラさんが一番最初に見せたタックルは上体を反らしているミルコさんに自分も胸を合わせ、相手の下に入る形を狙ってのテイクダウンだった。一口に「引き込む」と言うのは容易いけれども、この「下に入るためのタックル」は対ミルコ戦において最も効果的な戦術であり、尚且つどの選手も本気で試みなかった勇気ある戦術である。一旦グランドに持ち込んでしまえば最大の脅威である左ハイキックは封じられるわけで、あとはグランドパンチの恐怖に打ち勝つ勇気さえあれば、勝機は訪れるということをノゲイラさんは証明したと言える。尤もその後はまともなタックルをほとんどさせなかったミルコさんもすごかったのですけども。あとハイキックを念頭においたガードで、半分喰らいながらもミドルキックを全部しのぎきったノゲイラさんの勇気と勝利への執念もすごい。サップ戦でも見せた「折れない心」は全PRIDE選手中No.1と言えると思う。あとあと、ミルコさんはタックルを切るのは抜群に上手いけれども一旦寝技マスターに上に乗られてしまうとほとんど何も出来ないことを露呈してしまったので、今後の対ミルコさん戦略はつまり、引き込んで下に入るためのタックル→絶対に相手を立たせないしつこい寝技→(場合によっては下から三角)→あるいは意表をつくスイープからマウント、ということになったと思う。今回2Rでまともなタックルが入った(動画参照)のは奇跡的なので。あとさらに言うと、ワンチャンスの逆十字をすんなり決めたノゲイラさんはすごすぎ。

[]http://kowagari.net/movie/pride.mpg[]
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初めてまともなテイクダウンを奪われ、レフェリーに助けを求めるかのように怯えた表情を見せるミルコさん。本当は「ドントムーブ?」という意味だけど、しかしノゲイラさんが今まで幾度と無く陥った窮地において、こんな表情を見せたことが一度でもあっただろうか。いやない。