ちす。もつ焼き&焼酎ハイボールといったら東東京の伝統文化。それぞれ個性の強いお店が揃っております。通は京成線界隈を狙って通いますが、今回ご紹介する大松は、千代田線綾瀬駅にあります。ちょっと通の守備範囲からは外れてるんです。
でもそんなことは関係ありません。おれはもつ焼き&焼酎ハイボールのお店を飲み比べてうんちくを垂れる下町居酒屋評論家ではなく、地元の大松だけを偏愛しているただの地元のおっさんだからです。
年中Swarmで大松にチェックインしていて、それをTwitterに流すものですから、フォロワーの中には気になって気になって仕方ないという人もたくさんいるみたいです。実際、えらい遠方の方から「テラヤマさんのtweetで気になってた大松に行ったら、テラヤマさんいましたw」とリプライをいただいたり、エゴサしてたら「テラヤマ発見w」などとtweetしている全く絡みのない人がいたり。結構皆さん来てらっしゃるんですよね。
「いや、正直、大阪からわざわざ来るような店ちゃうで……」とも思うんですが、大松は正真正銘、唯一無二とも言える存在であることも確かなんで、初めて大松を訪れる人のために、作法のようなものを解説したいと思います。
常連ばかりの下町居酒屋ってハードル高いスよね
そもそもね、こんな解説とかしなきゃいけない時点でちょっとどうかと思うんですけど、下町居酒屋って、どこもみんな注文の仕方とか独特で、初めて行くと結構きついんですよね。地元の人も、最初はおっかなびっくり。隣の人の注文法とかそれとなく見て、さりげなく真似してみたり、それなりの苦労があったりするんです 笑。おれも最初の頃はかなり苦戦しました。
せっかく遠方から来たのに、店員がぶっきらぼうすぎて注文の仕方でまごついて、いやな思いして帰るとか、地元民としては非常に切ない。やっぱ「他にはない味だね。意外と美味しかったね。楽しかったね」つって帰ってもらいたい。なので、しっかりお伝えしようと思います。
大松の場所、営業時間
大松は数年前に移転しました。直線距離で50mもない場所ですけど、古い情報だと、違った場所に誘導されてしまうかもしれません。正確な位置はここです。
綾瀬駅東口を出て歩いて2分。すぐ見つかると思います。近くには、これも超有名な「こたに」という串揚げ屋さんがあります。なんと「こたにサワー」は缶ジュースより安い100円 笑。ビール大瓶(633ml)も驚愕の360円というすごい店です。ここはマジで「センベロ(千円でべろべろ)」が可能な店です。大松はここまで安くありません。
大松は日曜定休。盆暮れ正月やGWにも休みがあります。営業時間は17時からなんとなく客が少なくなってくるまで 笑。だいたい22時くらいまではやってますが、そんな遅い時間に行っても食材がほとんどなくなってるので、好きなものが食べられなくなります。行くなら17時開店直後がベスト。遅くても19時までには入りたいですね。
特に金曜土曜はかなり混雑しますから、開店直後じゃないと全然入れないということも普通にあり得ます。単騎飲みの人は回転がわりと早いので、30分も待てば入れると思いますが、2人以上だといつまで経っても入れなかったりします。
大松で必ず注文すべきもの
- ハイボール
- みそ味の焼き物
大松は味噌が全て。辛味噌をつけた豚もつ焼きは埼玉県の東松山あたりを発祥とするらしいですが、大松と似たような味は他にありません。唯一無二です。この秘伝の味噌は大松の命といってもいいものなので、一子相伝。なんと、従業員ですらそのレシピを知りません。知ってるのは大松の店主、通称「社長」と、その娘婿、通称「カズくん」だけ。この店で社長の次に古い「ナミキさん」ですら知りません。
結構辛いですが、「辛すぎて食べられない」と言った人は見たことありません。多分誰でも食べられます。
そして下町ハイボールと一般的に呼ばれる焼酎ハイボールも唯一無二。これはねー、なんだかよくわからない「大松ハイボールの素」と、「焼酎」と「炭酸」がサーバーで混ぜられて出てくるんですけど、絶対他にはない味なんですよ。すいすいと飲める口当たりの良さに反して、意外と酔っ払います。
おかわりすると、同じジョッキにレモンをひとかけら足されて継ぎ足されます。これによって、何杯飲んだかわかるようになっている仕組み。以前は伝票がなかったんで(!)、レモンの枚数を元にお会計してたんですけど、今はちゃんと伝票つけてます。なのでレモン入れは儀式みたいなものですね。
大松に来たら、とにかく味噌味のもつ焼きと、ハイボールは絶対飲んでください。これを味わわずに帰ったら、大松に来た意味がありません。
飲み物の注文方法
ハイボールは大松では通称「ボール」と呼ばれています。ここは一発、通ぶって席についた瞬間「ボール」と注文してください 笑。おかわりはいちいち言わなくても大丈夫。カウンターで飲んでいるなら、カウンターの上に飲み終わったジョッキを無言で置いておけば、すぐに注ぎ足してくれます。「すいませーん! すいませーん! おかわり!」とか急かすと従業員に嫌がられます 笑。テーブルで飲んでいても、よっぽど忙しくない限りはすぐに飲み終わったことに気付いて持っていってくれます。
ハイボールには、梅干しを入れるという裏ワザもあります。ここの梅干し、ジューシーですごく美味しいんですよ。最後のデザート的に飲むのがオススメです。ハイボールをおかわりするときに、「梅入れてください!」と注文して、箸でガスガス砕いて飲みます。
他には生ビール、瓶ビール、レモンサワー、緑茶サワー、日本酒等ありますが、客の7割が最初から最後までボール一辺倒です。
瓶ビールを注文すると「アサヒ? キリン?」と訊かれて鬱陶しいです 笑。
ボールはピッチャーで注文することもできます。だいたい5杯分くらいですかね。2人でテーブルで飲む際、おかわりでいちいち従業員の手を煩わせないで済むので、ピッチャーで注文するのもひとつの手です。あと、ボールはお持ち帰りもできます。店にあるお茶とかの空きペットボトル(笑)に入れてくれます。
焼き物の味について
- みそ
- たれ
- 塩
- (カレー粉)
焼き物は基本1皿4本、メニューによっては1皿3本入りで出てきます。一皿の中で味を変えるのは不可。4本、もしくは3本が全て同じ味になっていなくてはいけません。
みそは先ほど説明したとおり、この店のシグネチャーですからマスト。ピリ辛でほんの少しニンニクが効いてます。みそに合う焼き物としては「カシラ」「シロ」「ナンコツ」「バクダン」「コブクロ」あたりがオススメです。特に「カシラみそ」は地元の人も最も好んでいる人気商品ですね。
たれは甘辛い感じですが、他店と比べると甘さは控えめ。すっきりとした感じで食べやすいです。合う焼き物としては「シロ」「レバー」「つくね」あたりでしょうか。さらに唐辛子をババッとかけて食べるのもオススメです。
塩は普通に食卓塩 笑。なんてことはありませんが、一番食べやすいですね。合うのは「カシラ」「タン」「アブラ」「つくね」「手羽」あたりです。塩で注文すると、和辛子がついてきます。
カレーというのはオプションでして、たれ、もしくは塩に追加で無料トッピングできます。「つくねたれカレー」とか「手羽塩カレー」とかがオススメです。
焼き物の注文方法
「品名」+「味」で注文します。たとえば「カシラみそ」とか「つくねたれ」とか「タン塩」とかですね。「カシラください」と品名だけ言うと、「味はどうするの?」とぶっきらぼうに言われちゃいます 笑。
本数は初めから3本か4本と決まっているので、「1本で」とか「2本で!」とかはできません。ただし、単騎飲みの客に限っては特例が認められており、4本と決まっているメニューに関しては、「2本+2本の同じ味」で注文ができます。たとえば「カシラとレバーを2本ずつ味噌で」とかできるんです。2名以上で来店すると、これは認められないので注意。初めから3本と決まっている「ナンコツ」「つくね」に関してはこの2本+2本の特例は適用されません。
基本、4本のものは400円、3本のものは360円です。安くもなく高くもない感じですね。
ファーストオーダーと刺しの調味
焼き物は注文してからわりと時間がかかるので、地元の常連は最初のオーダーで大体焼き物と共に「セロリ」「きゅうり」「刺し」「煮込み」あたりの、すぐ出てくる系のものを一緒に注文します。
おれの場合は完全に決まってまして、まずマストなのが「セロリ」。これはマヨネーズと大松秘伝の辛味噌が付いてきます。昔は注文の度に生セロリを切って出してくれてたんですが、最近は開店前に仕込みで切って水にさらしてあるので、セロリ独特の強い風味は薄れちゃってます。忙しいから仕方ないですけどね。
そして寒い時期は「煮込み」を注文します。煮込みにはコショウをアホかと思うくらいどっさりぶっかけるのがオススメです。コショウは言わないと持ってきてくれません。大量コショウ法は、大松の社長が教えてくれた食べ方ですから由緒正しいです。
煮込みを食べるにはちょっと暑いなという時期には、「刺し」を注文します。昔はレバ刺しとかあったんですが、例の事件とかがありましたから、今はボイル済みの刺ししかありません。すなわち「ガツ刺し」「コブクロ刺し」「シロ刺し」です。初心者にはシロはきついかもしれないので、ガツ刺しかコブクロ刺しをオススメします。
刺しは全く味がついていませんので、自分で調味する必要があります。テーブル上には「醤油」「塩」「ごま油」「味の素」「酢」「唐辛子」が乗っています。
刺しはおれの場合、「ごま油」たっぷり、「酢」少々、「味の素」少々、「醤油」大さじ一杯くらいを回しかけて食べてます。そんなもん自分の好きにやったらいいですけど 笑。
つまり、ファーストオーダーは夏だったらこんな感じです。
「ボール!」→ボール来る→店員が伝票を手に持ち、オーダー待ちっぽい雰囲気を醸し出してくる→「セロリと、コブクロ刺し両方と、カシラみそ」。
冬だったらこう。
「ボール!」→ボール来る→店員が伝票を手に持ち、オーダー待ちっぽい雰囲気を醸し出してくる→「セロリと、煮込みと、ナンコツみそ。あとコショウお願いします」。
あ、「コブクロ刺し両方」の両方というのは、ショウガとニンニクの両方をくれ、という意味です。普通に刺しを注文すると、「ショウガとニンニクどっちにする?」と訊かれるんで、機先を制してその質問を封じてます 笑。多分初めての人が両方とか言うと「えっ?」って聞き直されちゃうと思うので、「コブクロ刺し、ニンニクで」とか言うといいと思います。
推奨メニュー
- カシラみそ
- ナンコツみそ
- バクダンみそ
- シロみそ
- レバたれ
- つくねたれカレー
- タン塩
- 手羽塩カレー
- 厚揚げ納豆
- 煮込み
- ガツ刺し両方
- コブクロ刺し両方
- セロリ
- サラダ
「バクダン」というのは、手羽の中にキムチとししとうが入っています。たまにししとうがめっちゃ辛いことがあるので、それにあたったら爆弾爆発ってことですね 笑。
厚揚げ納豆はすごくボリュームがあって以前は安かったのでお得だったんですが、値上がりしちゃいました。でもいまだに人気メニューです。
サラダというのは、大根とホタテの缶詰をマヨネーズで和えたものです。全然サラダっぽくありませんが、大松ではサラダと呼ばれてます 笑。仕込みが面倒なのか、頻繁に売り切れてます 笑。
単騎だったら「カシラとタンを2本ずつ、塩とニンニクで」というのが結構おすすめです。これ、供されたら、さらにお酢をたっぷりかけてください。それが社長おすすめの食べ方でもあります。
他に「大松焼き」というものがあるんですが、これは魚の練り物を焼いたやつですね。店名を冠してるわりには不人気メニューですし、自分もあまりおすすめしません 笑。
非推奨メニュー
これ大松の人に読まれたら怒られるな……。
- 辛きゅう
- もやし
- お新香
- ガツ焼き
からきゅうは、和辛子系の辛さで、本当に辛いのできついです 笑。もやしはキムチ風味のつけダレに漬けてあるやつで、手作りではなくできあいのものなのでオススメできません。お新香はちょっと塩辛すぎて……。あと大松のもつ焼きは全部美味しいですが、なぜかガツ焼きだけはジューシーさがなくてイマイチです。
まとめ
大松に来たら、ハイボールと味噌味の焼き物を注文してくださいということれす。店員の皆さんはおばちゃんの「フカヤさん」を除いてみんな無愛想ぶっきらぼうですけど、それがいいんですよ。ここは地元のおっさんが飲む店。店員が「い~~~~~らっしゃいませ~~~~~!!!!」とか大声で唱和するような店に絶対行きたくないおっさんたちがくだを巻く場所です。