ユリイカを読んだ

ユリイカ 第37巻第9号―詩と批評 (37)

ユリイカ 第37巻第9号―詩と批評 (37)

俺の中で長い間謎だった「俺自身はオタクなのかサブカル(というかサブカラ)なのか、そのどちらでもないのか」という疑問があって、いや実際のところ俺の中にサブカル的なものなど何もないことはわかりきっていたので、オタクなのかどうかという部分が気になってたんですけど、改めてこれを読んで自分はオタクなのだなと思った。オタクと言い切るにはちょっとアレなので、オタク的手法、オタク的思考法で生きているゲーム好きのおじちゃんなのだな、と思った。

びんびん響いてきた加野瀬さんの言葉を引用しておきますよ。

当時の僕は、オタクとしてそれにすごくムカついていたんです。別にそんなんじゃなくてもオレらはゲームが好きだし、なんで海外で認められてるとかわざわざ言うんだよ! 好きなら好きって言えよ、と。

いまトンガリキッズとか出てきて。おいおいスチャダラよりレベル低いことやって、なんで受けてるんだ、と(笑)。もう、こんなんでヒットしちゃうんだ、安いな……という感想しか浮かんでこない

男オタクにとって女オタクに媚を売るというのは最低のことなんですよ(笑)。

岡田斗司夫さんによって語られなかった(語れなかった)”格闘ゲームの熱いシーン”というのが確かにあって、あそこらへんでちょっと毛色の違うオタクというものが分派したように思う。

それはオサレに洗練された”サブカル的なオタク”とも違っていて、ちょっと言葉にするのが難しいのである一人の人物を代表モデルとして取り上げますけども、ファミ通でライターをやっていた渋谷洋一さんがそれに一番近い。当時ファミ通読者だった人にとっては「ハイローラー渋谷」として記憶に残っている人物であります。別段オサレでもなんでもないのだけど、硬派というか割とワイルドなファッションがオタクイメージを払拭したような感じを当時受けた。あとバイクというアイテムが、従来イメージのオタク臭さを大幅に軽減していたのだと思う。と言ってもその出自はAKIRAなわけで、アメリカンなワイルドさとはまったく違う、オタク特有の硬派なわけですけども。それでも「穴あき革手袋」とか「バンダナ」のようなお手軽硬派アイテム(一般人から見たら硬派どころかお笑いだけど)ではなく、実際50万からするバイク買っちゃうわけですから、明らかに普通のオタクと違う。

そんでこのタイプのオタクに共通するものは何かと考えると、それはおおざっぱに言ってスピードではないかと。瞬間的判断能力、正確な操作のための運動能力を持っていて、「ゲーム、好き、ぐへへ」といった愚鈍なイメージとはかけ離れた、アスリートに近いイメージ。軍人に近いイメージ。もしかしたら戦闘機のパイロットとかになってたら撃墜王とかになってたんちゃう? みたいな感じ。そんでそういう身体能力もありつつ、やっぱりオタクっぽくゲーム情報の収集、攻略法の開発には怠りないみたいな感じ。

俺は勝手にこのタイプのオタクをエクストリーム系と呼んでいて、これは単にゲーオタの内ゲバに過ぎませんけど、身体能力を必要としないエロゲヲタとはまったく相容れないものだと思っている。逆に、身体性という意味ではサブカルにも近い部分を持っていて、エクストリーム系ゲーオタにはテクノとかバカっぱやいハードコアを好む人が多い。そんで俺自身はこのカテゴリーの下っ端として生きてきたのではないかなと。でもこれって、90年代的ではないと思う。もっと前時代的です。オタクの本道からドロップアウトしてしまった前時代人なのだと思う。よくわかんないけども。