『シグルイ』という漫画が超絶に面白いので、普段漫画とか読まない人にもなんとか読ませたいなと思って、どうやったら読んでもらえそうか考えた結果、キャラ紹介とかしたらどうかなと思ったので今します。ネタバレになるけど。
『シグルイ』ひとくちメモ。普通は木剣で行われる試合を真剣でやらせて、はらわたずぶずぶの殺し合いを楽しむというむちゃくちゃなことをやったために、暗君徳川忠長さんが(無理矢理)切腹させられたという史実(駿府城御前試合)があって、それを今は亡き南條範夫さんが小説化し、それを山口貴由さんが漫画化したというものであります。登場人物の9割が狂ってるというか、完全にアタマオカシイ。
- 藤木源之助
- 隻腕の剣士。丸太のように重い木剣を30分かけて一振りする「練り」と呼ばれる鍛錬を積み、積み上げたタタミ十一畳を一太刀で叩き斬る膂力と、武装した7人の牢人者を素手で倒すほどの武芸をもつ。寡黙でストイック。一番まともに見えるキャラだが、内に秘めた狂気はトップクラス。御前試合にて伊良子と闘う。
- 伊良子清玄
- 盲目、跛足(はそく 足が不自由なこと)の天才剣士。藤木と同じ道場で剣を学ぶ美男子。虎眼流の跡目争いで藤木に勝利したのだが、岩本虎眼先生の逆鱗に触れたため、仕置きを受け盲目となり、道場から追放される。無明逆流れ(むみょうさかながれ)という構えから一撃必殺の剣技を繰り出すのだが、その構えがもうなんていうか、本当ヤバイ。放送コードぎりぎりの構え。無類の女好きで野心の塊だったが、追放により復讐に燃える怪物と化す。御前試合にて藤木と闘う。
- 岩本虎眼先生
- 濃尾無双とうたわれる「虎眼流」の始祖。多指症で右手の指が6本ある。また、認知症を患っており、常に「曖昧」な状態。池の鯉を生きたままボリボリ食ったり、実の娘を妾と間違えて夜這いしたり、秘剣伝授の折に失禁したりと、放送コードぎりぎりの存在だが、ひとたび剣を握ると最強の鬼神と化す。嫉妬深く執念深い性格で、よくある剣豪のようなおおらかはゼロ。妻が自殺した際に吐いた言葉は「たわけもの」の一言。道場で死人が出ると、真っ先に容疑者にされる師匠って……(もちろん虎眼先生が犯人だった場合不問になる)。『シグルイ』中、最もヤバイ。本当ヤバすぎる。
- 牛股権左衛門
- 虎眼流師範代。人間離れした膂力は藤木と同等かそれ以上。刀傷で口が耳まで裂けている異形。虎眼先生には絶対服従が虎眼流の基本であり、たとえ先生の逆鱗に触れて、耳まで裂ける口にされても文句は言えない。また、何が逆鱗に触れるかは道場の誰にもわかっていない。怖すぎる。性格的にはまともな方に見えるが、虎眼先生がいくの胸から切り取った乳首を食べるなど、狂気は隠せない。
- 山崎九郎右衛門
- 虎眼流の門弟。眼球突出してる。虎眼流を揶揄する輩を素手で殺し、眼をくり抜き、食べてしまうというヤバキャラ。最年少剣士涼之介の死を悼んで涙する姿が印象的だが、実は性的な意味で可愛がっていただけっていう……。辛いときは一人で海辺に行って、自らの陰茎を自らの口で慰めるという、柔軟性のある体が特徴、って書いててこっちの頭がおかしくなってくるくらいのヤバキャラ。見た目がすでにヤバすぎる。
- いく
- 虎眼先生の妾。いくに手を出して無事で済んだ者はいない。伊良子と不倫し、仕置きを受けた伊良子をかばって、自らの乳房に焼け火箸を押し付けた(脂肪が燃えて溶ける描写あり……)。もう片方の乳房は虎眼先生に素手で乳首を切り取られており、読者の痛覚に直接訴えかけるキャラ。痛すぎる。
- お蓉(およう)
- 伊良子清玄の母親。売春を生業としていたため梅毒に冒されており、伊良子と客の区別もつかず、「いらしゃんせぇ〜」と伊良子を迎える。結構な歳だがロリ声。銀鍔が好物。
- 舟木兵馬・数馬
- 虎眼先生に顎を破壊され異形にされた剣客、舟木一伝斎の双子の息子。舟木流の極意「兜投げ」(地上に安置した兜を斬るのが「兜割り」。「兜投げ」は中空に放った兜を眼前で叩き斬る)を会得した、流派免許皆伝の剣士。男娼街では2人で1部屋に入り、横に並んで同時に達するというわけのわからない息の合ったところを見せる。達するときの声も2人同時に「ぬふぅ」……。「舟木のせがれの首級をあげたいずれかを跡目とする」という虎眼の命を受けた藤木、伊良子と真剣で試合う。
- 掛川藩主 徳川忠長
- 実在。前将軍秀忠の子にして将軍家光の実弟。駿府領領主。殺生禁断の神山で1240頭の猿を射殺したとか、生きた妊婦の腹を割り裂いたなどの暴虐伝説がある。陰腹を召してまで(予め切腹した状態で)、真剣による御前試合の中止を諫言した家臣の言葉に眉ひとつ動かさず、それどころか家臣の腹から漏れ出た血とはらわたに愉悦の表情さえ浮かべる暗君。激ヤバ。
で、これはこの漫画の狂気の本当一部分でしかなくて、読めばわかりますけども、全編完全にイっちゃってます。絶対読むべき。俺はよく中世ヨーロッパの人間の無茶苦茶な行いのことをよく考えるのですけども、日本でもやっぱ同じだったのかなと思わせる。たかだか200年くらい前には「辻斬り」とか言って、人斬ってたんですものね。